政界「悪魔の辞典」
政治家の言葉を額面通り受け取ってはいけない。その曖昧さゆえ、期待を抱く向きもあるが、泣きをみるのは結局、庶民である。
【挙党体制」
難題にむけて党所属議員が一致結束して行
動すること。だが、そこにある視点は有権者
本位ではなく、権力本位であることは言うまで
もない。
→03年秋の自民党総裁選を前に主流派、反
主流派問わず「キョトータイセー、キョトータイ
セー」の大合唱。うんざりである
【公約】
政治家の有権者向けセールストーク。選挙戦
の期間だけ、有権者に「ばら色の社会」が開け
るがごとく夢を見させてくれる。もっとのこの国
の最高権力者である内閣総理大臣が「この
程度の公約が守られなくても大したことはな
い」という発言にも見られるように、その存在感
は空気よりも軽い。
→21世紀臨調が打ち出した「マニフェスト」なる
ものが浸透するならば、存在感が増す言葉
【自己責任】
与党政治家が一般庶民に強いる人生諸。紛争
地域(例えばイラク)での取材や年金、高齢者
保険などその範囲は恐ろしく広範。与党に忠実
な有権者にもその網はかぶせられるが、無垢な
支持者はそれに気付くことはない。
ただし、どんな失政をしても政治家がこれを問わ
れることはない。
→04年4月にイラクで起きた邦人人質事件では
与党政治家による「自己責任」の大合唱が巻き
起こり、帰国した邦人1人あたり約66万円が請求
されるという。これほどセコイ金銭感覚でも財政
は一向に改善の兆しを見せないことは世界の七
不思議と言われている。(04/04/20)
【是々非々】
一定の協力関係にある政治家が、その関係
において一番力の強い政治家の政策、方針
について使う。その関係とは主に連立与党、
同一政党内の主流、反主流派閥など。この
言葉を使う場合は有権者向け、国民向けポ
ーズであることが多い、なぜなら、その政策
や方針とはその権力者が強引に推し進めよ
うとするがゆえ、世論の評判は悪い。である
なら堂々と反対すればいいわけだが、自ら
はその協力関係に終止符を打つ気はさら
さらないので、決して口にしない。そこで編
み出された便利な言葉。
→ここ数年で言えば、公明党幹部が自民党
について使う頻度が最も高い
【総務会】
政界で総務会といえば自民党の総務会に
決まっている。その幹部には魑魅魍魎のよ
うな族議員が勢ぞろい。総務会が「うん」と
言わなければ、時の内閣は法案一つ提案で
きないという、まさに神をも恐れぬ組織。しか
し、政府提出法案などを事前審議する際は、
官邸や党執行部による事前の根回しが済
んでいるため、最終的には「全会一致」で終
わることがほとんど。過程において反対の怒
声が飛び交い、さも活発に論議がされている
かのように報道されるが、実際は、有権者向
け、視聴者向けに演出された、いわゆるガス
抜きというものに過ぎない。声の大きな議員
は、壁の外で聞き耳を立てている記者連中に
向かってわざと叫んだりするのである。
【大胆かつ柔軟に対応】
時の首相が経済政策などについて明確な
方針がない時、あるいは方針を断定できな
い場合に使う情けない常套句。
→最近では、国債発行30兆円枠堅持という
公約を破ろうとしたときに小泉首相が多用
【悲観論】
小泉首相の政策に対する反論の総称。小泉
改革が単なる「楽観論」であることの裏返し。
→03年9月26日、臨時国会の所信表明演説
で小泉首相は、司馬遼太郎氏の言葉「自分
のことを悲観的に思わないことです」を引用
したが、野党は自分のことではなく、小泉政
策の不誠実さに悲観的になっているのだ。
【野合】
一般には理念なき政党の離合集散を指す。
政界では連立政権に対して野党が、野党の
合併・合流には与党が、お互いの立場を棚に
挙げて批判するときに使う方便。
→03年7月23日、民主・菅代表と自由・小沢
党首の会談で自由党解散による民主党との
合併が合意された。これに対し与党は一斉
に「野合」と批判。しかしかく言う与党も、特に
平和的外交、経済政策など甚大な差がある
ことは周知。自民党単体だけでも派閥の野
合であると言える。